はいと言った初日
大阪の小さな会社で、山下の初めての仕事の日が始まった。山下は良い社員になりたくて、頼まれたことには何でも「はい」と答えるつもりだった。
朝、黒田部長が紙を持って来た。「山下さん、これを十枚印刷してくれますか」「はい、もちろんです」。隣の席のミキも言った。「その後、コーヒーを三つお願いします」「はい」。黒田部長は顔を上げた。「今日の歓迎会ですが、店に電話できますか」「はい、できます」。山下は電話の横にノートを置き、店の番号を書いた。
「八人です。七時からお願いします」と山下が電話すると、ミキが小さな箱を持って来た。「会でゲームもするので、このカードを使ってください」「はい、準備します」。黒田部長はまた紙を持って来た。「食事は肉と魚の両方を注文してください」「はい」。ミキは続けた。「席も決めてください。部長は入り口の近くがいいです」「はい」。山下のノートは字でいっぱいになり、コーヒーはすっかり冷たくなった。
午後、黒田部長が安心した顔で言った。「これで歓迎会の担当も決まりましたね」「そうですね。担当はどなたですか」と山下は聞いた。黒田部長とミキは同時に山下を見た。「山下さんですよ。全部お願いしたら、全部はいと言いましたから」。山下はノートを見てから、静かに聞いた。「この歓迎会は、誰の歓迎会ですか」「山下さんの歓迎会です」とミキが答えた。
夜、社員たちが会の席に集まると、山下はカードを持って前に立った。「では、新しい社員の紹介を始めます」と言って、山下は部屋の中を見回した。皆も山下を見た。山下は一度席に戻り、自分の名前を書いたカードを取ると、また前に立った。「担当の山下です。そして、今日来た新しい社員も山下です」